患者さん自身の歯を残すことにこだわり、機能、審美面の両方を考えた治療を行う小林豊明先生。勤務医時代や、アメリカのペンシルベニア大学で得た知識、技術を提供しています。御茶ノ水の塚原デンタルクリニック院長塚原宏泰先生からは「うちの勉強会の未来を担う先生です」と言われています。そんな小林先生に、医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
講演、学会発表、執筆活動多数
先生が歯医者を志したきっかけは?
両親が歯医者で、子供の頃からよく医院に遊びに行っていたこともあり、歯医者はとても身近な存在でした。また、祖母も歯医者で、中目黒で開業していたのですが、両親が忙しい時は中目黒にもよく遊びに行っていました。そこは自宅開業だったのですが、遊びに行くと、祖母が真剣に治療している姿や、楽しそうに患者さんと話しているのを見たことは、きっかけとして大きかったと思います。
両親から「歯医者になれ」と言われていたわけではなかったのですが、高校生の時に「歯医者はやりがいがあるし、楽しく、深い仕事だ」という言葉を父から聞けて「楽しい」というその一言に惹かれ、歯医者を目指すことにしました。
五大歯科の特徴を教えてください。
日本橋で30年以上開業していることは大きな特徴だと思います。当院は東京駅からも近く交通の利便性も高いので、遠方からも来ていただけていますし、中には青森から来院されている患者さんもいらっしゃいます。また、中には2、30年以上通い続けていただいている方や、そのご家族も治療に来られます。患者さんに信頼して来院いただけているのは、父の代から「しっかり噛めて、長持ちする治療」をずっとやってきた結果であると思いますし、スタッフ全員が同じ気持ちで日々の診療を丁寧に行っているからだと思います。
私は大学卒業後、押見歯科診療室で4年半の間、1本の歯を大切に、他院で抜歯と言われてしまった歯をできる限り抜かずに残す様々な技術を学びました。その後、アメリカのペンシルベニア大学に留学し、審美の分野で世界的に有名な教授のところで最新のセラミックスを学びました。研究を重ね、アメリカの学会で論文の発表をする機会を頂くなど、集中的にセラミックスについて学ぶことができました。現在、セラミックスはたくさんの種類があります。それぞれのセラミックスの特徴をしっかり学んだことにより、この症例にはどのベストな素材か、審美性や機能性などを踏まえて判断できるようになったので、今では自信を持ってどれがいいかを患者さんに勧められます。
噛めて、長持ちできることは当たり前だと思っていますので、そう言った今までの治療に加えて「見た目の美しさ」も意識して、機能面と審美面の両方を回復させることに努めています。
今後の歯科業界についてと展望を教えてください。
高齢化社会により高齢者が増えているので、いかに健康で元気な高齢者を増やし、健康寿命を延ばすかが今後の課題だと思っています。
健康寿命を延ばすにあたって、歯科はすごく貢献できる分野です。奥歯でしっかり噛める人と奥歯がなくて前歯ばかりで噛んでいる人では、認知症のリスクが違います。また、奥歯がないと食いしばることができないので、ちょっとしたことで転んでしまい、骨折、入院により筋肉が衰え、寝たきりになってしまうという最悪のパターンもありえます。奥歯で咀嚼して栄養がとれることで、筋肉も保てて、食いしばれて、転ばないということができれば健康寿命は延びていきます。そこに貢献できるので、これからは歯科の時代だと思っています。
家でケアをしていない人が3か月に1回来院いただくだけでは、理想的な口の状態を長期に保つことはできません。適切なメインテナンスと患者さんご自身でのセルフケアが欠かせません。私は患者さんの半歩後ろを並走していけるような存在でありたいと思っています。そのために、患者さんが困ったときにそれを治すスキルが必要ですし、少し異変を感じたときにすぐメインテナンスでチェックできる環境が必要なので、スキルを高め、患者さんをしっかりと診られるシステムを作っていかなければなりません。また、そういう考え方に賛同してもらえる若い先生にもどんどん教えていきたいと思っています。本当にいい治療をする歯医者が増えれば、私が1人でやるよりも社会への貢献につながると思うので、若手歯科医師の教育や講演にも力を入れ、そして、当院に来ていただいている患者さんにしっかりと結果を出し続け、安心して何十年も通い続けていただけるようなクリニックを作っていきたいなと思っています。