これまで約50年間、顎関節症治療について研究と臨床を積み重ねてきた中沢先生。歯科医師向けの学術書も多数執筆されています。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
歯科医学博士
日本臨床歯周病学会 専門医 指導医
日本顎関節学会 専門医 指導医
日本口腔顎顔面痛学会 専門医 指導医
執筆
中沢勝宏の誰にでもわかる咬合論
症例で読む顎関節症―保存療法のすべて
顎関節症治療するときしないとき
入門顎関節症の臨床
Anatomical Atlas of the Temporomandibular Joint
歯はここまで治る・これで守れる
他多数
メディア、講演実績多数
先生が歯医者を志したきっかけは?
ある大学の工学部に合格していたのですが、私の兄の友人が東京歯科大学で教授をしていて、兄がその友人から私を東京歯科大学に来させてほしいと言われたらしく、受験票を持ってきました。言われるがまま受験してみたところ合格したので、そのまま東京歯科大学に進むことにしました。
中沢歯科医院の特徴を教えてください。
1日に診る患者さんの8割以上が、顎関節症か以前に顎関節症を患ったことのある方です。顎関節症の患者さんを大学や他院からご紹介いただくことも多いです。そして、来院される患者さんのほとんどが女性です。なぜ女性が多いかと言うと、女性は、エストロゲンの働きで痛みに対して敏感ですし、ご自身の身体に対して違和感を感じやすいからです。また、他の歯科医院では原因が分からず、歯科医院を転々としている重症の患者さんが最後に行きつくところとして当院を受診されることも多いです。
大学院で顎関節症を学位論文のテーマとして与えられたことがきっかけで、それ以来約50年間顎関節症について研鑽を積んでまいりました。今でも顎関節症に関する色々な研究が進んでいるので、追いつくために海外論文などをたくさん読み、日々視野を広げています。
顎関節症は、歯科はもちろん精神科、神経内科、心理学の知識もなければ治療はできません。顎の痛みが原因でうつになったり、うつ病の症状の一つとして顎の痛みが出るなど、歯科の知識だけでは解決できないケースもあるので、様々なアプローチで解決方法を探っています。
診療の際は、常に患者さんの立場に立って考えることを心がけています。
今後の歯科業界についてと展望を教えてください。
歯科業界そのものの見通しはすごく明るいのですが、保険制度の関係で、日本での見通しは暗くなるかもしれません。保険により治療内容が制限されてしまうので、できないことがたくさんあります。その制限がなくなることによって日本の歯科業界は明るくなると思いますが、現状は難しいと思います。顎関節症治療においても、保険で制限されてしまうとなにもできなくなってしまうので、当院では自由診療でやっています。
現在は別の面からみた顎関節症に興味を持ち調べています。特に患者さんの心に目を向けて、従来の心理療法ではなく、テクノロジーで治していく方法を研究しています。うまくいくかどうかはわかりませんが、文献を集めているところです。