坂口歯科医院 院長 坂口 倫章 | 歯医者の選び方

インプラント治療に早期から取り組み、経験・知識を積み上げてきた坂口先生。日本口腔インプラント学会の専門医だけでなく、日本歯周学会の専門医資格も取得されており、先生の治療を求めて、全国から患者さんが来院されています。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただきました。

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日本口腔インプラント学会 専門医
日本歯周病学会 専門医
学会発表

先生が歯科医師を志したきっかけは?

高校生の頃から、人の役に立てる仕事をやりたいと考えており、中でも医療関係の仕事に興味を持っていました。心療内科医を考えていた時期もありましたが、当時の医学は各分野の専門が変化している時期だったので、選びきることができず最終的に歯学部に進学しました。
実は家庭の事情で学費を自分で稼がなければならなかったので、大学時代は家庭教師や大手の進学塾で働きながら多くの生徒を志望校へ送り出しました。そのまま教育方面に進むことを考えた時期もありましたね。人の役に立てる仕事という意味では教育分野も自分には合っていたようで、とても楽しかったです。当時家庭教師をしていた生徒さんとは40年経った今でも交流があります。教育に対する情熱と医学に対する情熱は似ているところがあるなという発見もあり、とても貴重な経験になりました。

坂口歯科医院の特徴を教えてください。

当院は、一般的な虫歯、歯周病の治療だけでなく、インプラント治療や嚙み合わせ治療、審美歯科、矯正歯科、親知らず、顎関節症など幅広い診療科目に対応しています。また、難症例の場合は専門の先生と連携しながら治療を進めています。

私が師事した添島先生は国内におけるインプラント治療の草分け的存在で、私の学生時代は日本にチタン製のインプラントが導入された頃だったのですが、そのITIインプラントを国内に紹介した数少ない先生の1人でした。在学中から添島先生の歯科医院を見学させていただき、卒業後もそこに就職して、私が開業するまでの約20年勤務しました。
私が就職した頃のインプラント治療は黎明期で、長期的な治療経過も不明でした。また、大学でインプラントに関する教育もなかった時代なので、もちろん新人の歯科医師が最初からやらせてもらえる治療ではありませんでしたし、ケースによっては歯科医院自体の信用にも関わることが多かったので、簡単に手を出すことができない治療でした。添島先生や関係者の先生方はその状況に危機感を抱き、学会や研究会を設立して適正化し、卒業後の教育システムをどのようにしていくかなどの制度作りを進めていくことになりました。私もその制度や組織作りに携わらせていただきました。その過程で、日本口腔インプラント学会の専門医資格も取得しています。

インプラント治療を学ぶ中で、歯を失ってしまう1番大きな原因である歯周病についても興味が湧きました。そもそもなぜインプラントをする必要があるかというと、歯を失ってしまったからです。どれくらいの割合で、どういった人がどこから歯を失っていくのかなどが知りたくなったので、素晴らしいい先生方から色々と学ばせていただき、結果的に日本歯周病学会の専門医資格も取得しました。なので、当院では専門的なインプラント治療と歯周病治療をご提供することができます。

初診の患者さんは紹介で来られる方が圧倒的に多く、歯周病や咀嚼障害、顎関節症でお悩みの患者さんがよく来院されています。また、他院から難症例として紹介で来られる患者さんも多く、関東や関西、アメリカから来られる患者さんもいらっしゃいます。

患者さんと接する際は、どのように治療をしていくのかではなく、「なぜこうなってしまったのか」をできる限り患者さんにご理解いただいてから治療を開始することを心がけています。患者さんにご理解いただいてから治療を開始することで、治療が終わったあとの継続的なメンテナンスにつながっています。ある程度治療費をかけて治しているので、良い状態を維持できないともったいないですからね。

当院ではブラッシング指導もかなり細かくやっています。現状学校も含めて適切な歯の磨き方を学べる環境がありません。正しく、きちんと磨けているかどうかは患者さんによって千差万別なので、患者さん一人ひとりに適切な歯の磨き方をしっかりとご指導させていただきます。また、患者さんのモチベーション維持のために、位相差顕微鏡ですべての患者さんに口腔内の細菌の状況をご確認いただいています。

歯周病治療は大きく分けてアメリカ型の歯周病治療と北欧型の歯周病治療がありますが、当院では北欧型の歯周病治療を軸に根面デブライドメント法で治療を行っています。当院にはそのための超⾳波⻭⽯除去機が4台あり、その機器を用いて、歯根面から歯周病の原因となるプラークを除去しています。エアーフローといった、歯周ポケット内に特殊な粉をかけて、メンテナンスを行うための機器も2台導入しています。
また、歯周ポケットが深いままですと、それだけ歯周病の再発リスクが高まります。歯周ポケットを浅くすることが重要なので、健康な歯や歯肉を取り戻すために光殺菌治療(フォトダイナミックセラピー)も行っています。光殺菌治療は歯周病だけでなくインプラントや感染根管治療、口内炎など様々な症例に効果があります。

今後の歯科業界についてと先生の展望を教えてください。

歯科医療の本質や重要性を歯科医師自身がまだ十分に理解していないと思っています。歯科からのアプローチで国民に貢献できることがまだまだ無限にあるので、それをどのように周知していくかが今後の課題です。食事を通じて口は「命の入り口」であり、会話や表情を通じては「心の出口」ですから、歯科医師はとても重要なことを扱っている素晴らしい職業です。

10年くらい前から重要視しているのが、「口呼吸」による健康障害です。歯がなくなる主な原因は、歯周病や虫歯、外傷によって歯が折れてしまうことだけではなく、ほとんどの日本人が抱えている「口呼吸」の問題もあげられます。10人中7人くらいは口呼吸をしていて、その影響で子供もご高齢の方もかみしめ癖のある人が増えています。それが2016年4月の熊本地震以降により増えました。さらに2020年の新型コロナウイルスによるマスク生活の影響でさらに増えました。話す瞬間でさえ口で呼吸をしてしまっているのです。風邪を引かないためには食べ物ももちろん大事ですが、口呼吸をしないこともとても大事なのです。
昨今の子供たちが体調不良になりやすいのは、単なる運動不足が原因ではなく、呼吸が変わったこともあげられます。口呼吸をしながら成長しているので、咬合器の発育が悪くなり、顔が小さくなって、歯並びが悪くなったり、アトピーやアレルギー、喘息の子供が増えてしまっています。子供の頃から歯の適切な磨き方や呼吸を変えるだけで相当変わってきますので、歯科医師の役割はとても大きいと思っています。

私は現在約3万人が所属する世界で1番大きなITIインプラントの学術団体に所属しています。その中で指導的な立場にいる先生は約800人おり、日本には約200人います。私はその内の1人で、熊本の支部長もしています。そこで最先端の勉強にも引き続き取り組みながら、できる限り少ない侵襲で最大限の効果をあげられるインプラント治療を提供していきたいと思います。ただ、最高の技術を習得し、提供していくことももちろん重要ですが、インプラントをしなくてもいいように予防していくことこそが医療の本質であると考えているので、若い先生方にそこの勉強の重要性を指導、発信もしていきたいです。

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