30年以上前から咬合改善治療に取り組み、不定愁訴に悩まれている多くの患者さんを救ってきた井上先生。患者さんの全身の健康に関わる治療を提供するための知識、経験、技術、設備が揃っています。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただきました。
歯学博士
オッセオインテグレーション学会 認定医
ドイツ口腔インプラント学会 認定医
世界口腔インプラント学会認定指導医
日本小児歯科学会 認定医 専門医
北九州インプラント臨床研究会 会長
執筆、講演実績多数
先生が歯科医師を志したきっかけは?
高校生の頃は建築家か弁護士になりたいと考えていたのですが、高校3年生の夏休みに職業の適性検査を受けてみた結果、建築家も弁護士も適性ではありませんでした。どの職業が私に1番合っているのかを調べてみたところピッタリと合う職業が1つありまして、それが歯科医師でした。改めて考えてみると、手先が器用で、細かい作業も好きでしたし、独立志向も強い性格だったので確かに向いているのかもしれないと思い、歯学部を受験したことがきっかけです。
井上秀人歯科インプラントクリニックの特徴を教えてください。
当院の特徴は上辺だけの治療ではなく、全身の健康に関わる治療をしているところです。全身の健康には、嚙み合わせが深く関わっています。顎がズレて、身体が歪み、全身の健康を害している人がたくさんいます。そんな人たちのお悩みを解消したいと考え、30年以上前から咬合改善治療に取り組んできました。理想的なお口の中の状態にするために、咬合改善治療だけでなく、インプラントや矯正、歯周病治療、根管治療など幅広い診療科目にも対応しています。
咬合改善治療を受けた多くの患者さんが元々は肩こりや頭痛、腰痛に悩まれていました。私が治療をする上で大事にしていることが顎のズレです。顎がズレていると口や顎の筋肉が偏って使われるので、筋肉疲労が生じます。その筋肉疲労が、連動している肩や首の筋肉にまで影響を及ぼし、その箇所を無意識にフォローし続けているうちに、全身の姿勢が悪くなってしまったり、骨格が歪んでしまったりします。その結果、原因不明の肩こりや頭痛、腰痛などの不定愁訴につながってしまうのです。
そこで当院ではまず顎のズレを解消するために、上顎に対して、下顎がどれくらいズレているかを検査します。実は上顎は頭とつながっているので、頭の傾斜もとても重要で、顎のズレと合わせて頭の傾斜、全身の姿勢も検査・診断していきます。その結果をもとに、まずは取り外し可能な「ゲルブ装置」を作成、装着していただき、顎を正しい位置にもっていきます。
正しい位置にもっていったあとは、「ゲルブ装置」を装着式ではなく固定式にして、顎の位置を安定させていきます。正しい位置関係になった状態でこの装置を噛んで、口や顎の筋肉のトレーニングをしていただくことで、関節まわりの固まっている筋肉がほぐれて、口が開くようになり、顎関節症や肩こり、頭痛、腰痛が改善していきます。
インプラントや矯正治療をする際もまず顎のズレを治して、全身の姿勢を改善したのちに、治療を開始します。最初に顎のズレを治してから治療することで、最終的に奥歯できちんと噛めるようになります。
当院は通常のインプラント治療だけでなく、インプラントを埋め込むのに十分な顎の骨の量が足りずインプラントを断念されてしまっていた方にザイゴマインプラント治療をご提供しています。通常のインプラントは上顎あるいは下顎の骨にインプラント体を埋め込むのですが、ザイゴマインプラントは硬い頬骨にインプラントを埋め込みます。なので、顎の⾻の量が不足していても治療することができ、従来のインプラントと比較して、埋入本数を減らすことも可能なので、場合によっては費用負担が下がることもあります。
また、ザイゴマインプラントは⼿術の当日に被せ物が装着できるほどインプラントをしっかりと固定することができるので、早急に欠損を治療しなければならない方の場合、手術当日にお口の機能を回復させることができるといったメリットもあります。
インプラント手術を安全に行うために当院では、デジタル技術も活用しています。歯科用CTによる3次元的な画像データと歯科技⼯⼠が事前に作成した歯の形をインプラントシミュレーションソフト上で合成し、インプラントの適切な埋入角度・位置を画面上で⼿術前に決定していきます。その際に、デジタルのみに頼ったシミュレーションをするのではなく、患者さんの顎骨の模型を3Dプリントした立体模型も作成し、様々な角度から計測するアナログなシミュレーションも併せて行なっています。手術の際はインプラント手術ナビゲーションシステム「x-guide」を活用して、神経や骨の幅など解剖情報をリアルタイムに確認しながら手術しています。
熟練の技術とデジタル技術を融合することでより安心・安全で正確なインプラント治療が可能になっています。
インプラントや歯周病の外科処置を行うための専用のオペ室も完備しています。世界的に厳しいといわれるヨーロッパ基準を満たした滅菌器による治療器具の滅菌はもちろん、空調設備や手術台、無影灯にもこだわっています。手術中は麻酔医による静脈内鎮静法や笑気ガスを用いたほぼ無痛状態でのオペが可能です。
また、手術後の患者さんの早期回復も重視しており、術後に麻酔が完全に覚めるまでゆっくりできるリカバリールームや入院室も完備しています。当日にお帰りいただく場合は当院の社用車にてお送りすることも可能です。他にも、高濃度ビタミン点滴や治癒力アップのための酸素ルームの設置など全身の健康に関わる治療をするための設備が整っています。
当院には専属の歯科技工士が常駐しています。外部の歯科技工所に依頼する場合と比べて、迅速な対応が可能なことはもちろん、歯科医師と密に連携を取りながら、審美性の高い精密な技工物を作製することができます。デジタルスキャナーも活用しながら、高い審美性と機能性を実現し、患者さんにとって理想的な口元を目指しています。
患者さんと接する際は、気持ちに寄り添って話を聞かせていただきます。患者さんの表面的な問題だけではなく、様々な背景も踏まえて、理想的な治療をご提案させていただき、ご納得いただいた上で、治療を開始します。
参加自由の無料セミナーにも力を入れています。歯の知識だけでなく、嚙み合わせやインプラント、全身の健康をテーマにこれまで130回以上行ってまいりました。各参加者個別で口周りのお悩み相談も行っています。歯や健康に関心が高い方から現在治療中の方まで、多くの方にご参加いただいていますね。
今後の歯科業界についてと先生の展望を教えてください。
歯科医師が治療をしなければならない状況はこれからも続くので、今後も歯科業界が衰退していくことはありません。現在の問題は日本の保険制度です。日本の保険制度の範囲内だけで治療をしようとすると思うような治療ができないことが歯科業界の大きな問題だと思っています。また、保険制度には複雑なルールがあり、若い先生方は保険制度について一生懸命勉強されています。さらにその制度は頻繁に変わるので、リアルタイムで新しい情報を勉強しなければなりません。保険制度について勉強する時間を本当は歯科の勉強に充てるべきなのですが、現在の保険医療制度上、そこに時間を割かなければならない状況を危惧しています。
歯科に限らず医療というものは進歩していくものです。目先に利益にとらわれず、本質的な医療を追求し、患者さんにとって本当にいい治療を目指す。そのためには新たしい機器も必要ですし、講習会にもたくさん参加しなければなりません。それに費用はかかるかもしれませんが、費用をかけてでも、正しい方向に進歩していくべきだと思っています。
今後に関してですが、引き続き、嚙み合わせ治療とインプラント治療がメインになっていくと思いますが、その治療方法を確立させたいと考えています。そして、確立させた治療方法を私だけでなく、私の仲間の先生も同様に実践できるような組織を作っていきたいと思っています。
今の治療以上に良い治療方法や材料なども今後出てくると思いますので、私の考えを理解してくれる若手のドクターを増やして、一緒に追求していきたいですね。