21年間勤務した昭和大学を退任し、さとう歯科にてこれまで培ってきた知識・経験を活かして、地域医療に貢献されている佐藤裕二先生。全身疾患のある患者さんや、睡眠時無呼吸症候群や歯ぎしりの治療にも対応しています。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただきました。
歯学博士
昭和大学名誉教授
日本補綴歯科学会 代議員 指導医 専門医
日本口腔インプラント学会 評議員 指導医 専門医
日本顎関節学会 指導医
日本顎咬合学会 かみ合わせ指導医
受賞歴あり
論文、執筆実績多数
先生が歯科医師を志したきっかけは?
父親が歯科技工士で技工所を自営していたので、職場に遊びに行く機会がよくあり、歯科に興味を持ちました。また、将来のことを考えていた時に「おまえは人付き合いが下手だから歯科医師が向いている」と父親から言われました。現在は当時の状況とは違い、コミュニケーションも重要な時代ではありますが、父親の勧めがあったのと、手先も器用だったので歯科医師を目指すことにしました。
さとう歯科の特徴を教えてください。
当院の特徴は、睡眠時無呼吸症候群の治療用マウスピースを多く手がけているところです。医科からの紹介があって初めて、いびきや睡眠時無呼吸症候群の治療用マウスピースを作ることができるのですが、1年間に1件程度対応している歯科医院が多い中で、当院は年間60〜70件ほど対応しています。
マウスピースは作って終わりではなく、きちんと効果測定を行い、効果が少なければ再度位置を変えて調整をするなど、患者さんごとに細かな対応が重要なのですが、当院ではそういったところにも配慮をして、丁寧に診療を行っています。
私は大学の教授時代に高齢者歯科を担当していたので、全身疾患との関係を重視した診療も行っています。また、医科との連携を密に取っているので、様々な病気を持たれている患者さんの対応が可能です。例えば、糖尿病や骨粗しょう症や血液をサラサラにする薬を飲まれている方に対しては、医科と情報を共有した上で、適切な対応をさせていただきます。当院の2階は糖尿病内科なので、情報の共有がスムーズにできるところも特徴ですね。
歯ぎしりの検査にも力を入れています。約3年前に歯ぎしりの検査機器が保険適用にはなったのですが、その機器は広島県内でまだ10医院ほどしか導入していません。当院では月に10例ほど歯ぎしりや食いしばりの検査を行い、その結果をもとにマウスピースを作成しています。
また、歯ぎしりの検査だけでなく口腔機能低下症の検査も多く行っています。その検査結果から「お口年齢」を計測できるシステムも作りました。ただ単に数値がこうでしたでは患者さんには伝わらないので、実年齢とお口年齢の結果をもとに、具体的な改善目標を提示し、患者さんにとってわかりやすく情報提供することを心がけています。
初診時は十分な時間を確保して、カウンセリングルームで口腔内写真やX線写真を大きな画面でお見せしながら、治療計画や治療のオプションについて、丁寧にご説明させていただきます。模型や義歯、マウスピースのサンプルを活用することもあります。
昨年5月には診療所を建て替え、患者さんのプライバシーを守るために半個室と完全個室の診療室を完備しました。また、車いすの患者さんにも対応できる広いスペースの診療ユニットも完備しており、高齢者にも優しい環境が整っています。
今後の歯科業界についてと先生の展望を教えてください。
虫歯を削って詰める、歯を失ってしまったところに入れ歯を入れるといった部分的な治療だけをするのではなく、お口全体の健康を考えた幅広い診療が重要になっていくと思います。超高齢社会に突入し、全身疾患のある方もどんどん増えているので、安心・安全な歯科治療はより求められていくと思っています。
歯学部の学生さんが減り、歯科医師の国家試験は合格率が下がり、団塊の世代の先生方が引退をし始める頃なので、歯科医師の数はだんだんと減っていきます。なので、より一層歯科医師の重要性は増していきます。ただ、昔のように歯科医師になりさえすれば儲かる時代ではなくなってしまったので、なにか特徴を持っていなければ厳しい時代になってしまうのかなと思っています。
大学時代は研究と教育が中心でしたが、今は純粋に診療を楽しんでいます。今後も色々と楽しみながら診療をしていきたいのと、大学時代の知識や経験、技術を書籍や論文の執筆、講演やセミナーを通じて、次の世代に伝えていけたらいいなと思っています。