秦野市ではじめての矯正専門医として開院して25年。現在の矯正歯科治療における問題とそれに対する熱い思いをインタビューさせていただいた。
日本矯正歯科学会 認定医・臨床指導医(旧専門医)
日本臨床矯正歯科医会
Charles H. Tweed Foundation Fellowship member
日本歯科医師会・神奈川県歯科医師会・秦野伊勢原歯科医師会 会員
日本口蓋裂学会 会員
日本顎変形症学会 会員
日本口腔筋機能療法学会 会員
WFO(World Federation of Orthodontists)
日本で最も権威のある矯正学会である日本矯正歯科学会の最高資格「臨床指導医」は日本に363名(2020年9月)
先生が歯医者を志したきっかけは?
私の祖父が秦野市で最初に開業した歯科医師で、幼稚園、小学校に行くと、先生から「おじいちゃんもおとうさんも歯医者さんだよね」とよく言われていました。
私自身が3代目ということで、歯科医の道に進むということは周囲からなんとなく決められていた感がありますね。
その中でも矯正を選んだ理由としては、両親の意見を参考にしました。
父は大学院に行くことを強く勧めていたのですが、大学院は基本的には研究をやるところなので、研究がおもしろそうで、自分が興味を持てそうな研究をやっているかどうかが選択のポイントでした。
私が選んだ矯正科の当時やっていた研究に興味をもったことが矯正の道を選んだ理由の1つですね。
母は矯正専門医でしたし、父は今でも2階の一般歯科で治療を行っていますが、
自分が矯正の大学院に進学を決めた時、父はあまりいい顔はしませんでした。矯正の大学院に行く代わりに、大学院が休みの土曜日は一般治療を手伝えと父から言われ、実行していました。
なので、駆け出しの頃は矯正治療よりも一般治療の方が得意でしたね。
しかし、その経験が今すごく生きていると思います。歯を1つ見ても、これが残せる歯なのか駄目なのかなど、矯正だけを経験していたのとは違う目を養うことができました。
でもやはり矯正の仕事はおもしろいので本当にやってよかったなと思っています。おもしろい部分はいくつかあります。1つは、多くの人は自分がやりたくて、ここが治したいということで矯正治療を始めるわけですが、私自身が本当に良い治療結果を出せたなという実感に対して、患者さんがすごい喜んでくれることに日々やりがいを感じます。
2つめは、矯正治療は戦略的な治療だということです。最初にある状態から完成形をどこにもっていくかということをまず決めて、そこにもっていくためにはどういう風に治療を進めていくのかを決めます。それがその通りに進んでいくのか、中にはもちろん進まないケースもあるのですが、その時はそれをどのように対応するのかなど頭を使う治療なので、そういう部分は仕事としてはすごく面白いと思っています。
高橋矯正歯科の特徴を教えてください。
まずは矯正治療をやるならきちんとやりましょうということを患者さんに伝えたいです。
きちんとやるというのはどういうことかというと、ほとんどの患者さんが前歯を治したいと言って来院します。もちろんそれは当然治療しますが、プラスで奥歯の噛み合わせもきっちり治していきます。
多くの矯正専門医院でもここまでは当然やると思うのですが、そこに対して私はもう1つ、患者さんには「せっかく矯正治療をするのであれば、横顔も変えられるように治療を進めたらどうですか」ということを提案することが多いです。また、矯正治療は治療後に後戻りする現象があるのですが、きちっとそういう治療をしていくと後戻りが起きにくいといことが実感として分かってきました。この4つ、すなわち、主訴である歯を並べること、咬み合わせをきちんとすること、横顔を改善すること、治療結果が安定することが揃って良い治療だと私は思っているので、これらを達成するためにはどのように治療をするかということを、患者さんと相談するのが当院の1番の特徴かなと思います。
患者さんが治療の方法に希望をもっていらっしゃる場合は少なくありませんが、結果を重視するやり方に対し、治療方法をどうするかを加味すると治療結果がかわってくる可能性が出て来る場合があります。
そのあたりを患者さんとよく話し合うというのが第一の取り組みになります。
さらに、2階に一般歯科が併設しているので、例えば、歯の治療が必要になった場合でも矯正の通院のついでに処置ができるので、患者さんからしてみると利便性が高いかなと思います。
先生の今後の展望を教えてください。
あまりよくない矯正治療というのは残念ながら世の中にはけっこうあります。ですので、きちんとした矯正治療をやるべきということを啓蒙する努力をしていきたいですね。
歯科治療だけではなく、どういうものでもピンキリではあると思いますが、特に矯正治療の場合は良くない治療をするくらいなら、治療をやらない方がいいとさえ思います。
せっかく80万、100万円をかけて、治療したけど、ひどい結果になってしまったという人をみると大変悲しい気持ちになります。再治療や今他院で行っている治療についての相談を目的にくる患者さんは毎年一人二人ではありません。そういう人を極力なくしていきたいと考えています。
ホームページ等の目的も現在はそこにあると考えています。発信し続けることでだんだんとみんなに分かってもらえるのではないかと考えています。特にホームページのブログを読んでから、いらっしゃる患者さんはけっこう悩んでおられる患者さんが多いですし、ああいう風に書いている医院は他にはないのでと言っていらっしゃる方もいます。 もちろん当院以外にもきちんとやっているところはたくさんあると思うので、現在では患者さんがある程度治療をする医院を探す努力をしなければならない状況にあると思います。「もっときちんと治るとは知らなかったです」という患者さんをもっと少なくしていきたいというのが今の一番の願いです。