「患者様本位の世界基準の歯科治療を目指す」を理念に掲げられている五十嵐先生。幅広い診療にも対応し、訪問診療も行うなど地域の方のニーズに応えていらっしゃいます。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
日本歯周病学会 認定医
日本障害者歯科学会 認定医
宇都宮歯科衛生士専門学校講師
日本自家歯牙移植外傷歯研究会 理事
高維持力機能総義歯セミナー 主宰
著書
生体に優しい総義歯製作法 (MIに基づく歯科臨床(補巻))
高維持力機能総義歯 ~理論で理解!失敗しない総義歯臨床の5条件~
講演、セミナー実績多数
学会発表、論文多数
先生が歯医者を志したきっかけは?
父親が医師だったので、医療系の仕事をしたいと考えていました。私は手が小さかったので、お口の中を治療する歯科医師が向いているのではと、母親の勧めもあり歯科医師を目指すことにしました。
いがらし歯科イーストクリニックの特徴を教えてください。
当院は、生涯にわたって口腔と全身の健康をサポートするために、予防とメインテナンスに力を入れています。
治療に関しては、保険診療、自由診療の垣根なく、根管治療をするときにラバーダムやマイクロスコープを活用し、口腔機能を最大限に発揮できるように、最小侵襲のMI治療で健康に導ける治療計画を立案しています。
大きな補綴物を入れる際は、顎関節機能に調和した噛み合わせを作ることを目標に、ただ詰め物を詰める、被せ物を被せるのではなく、長く持たせるための治療をしています。
訪問歯科診療にも力を入れているので、通院ができない要介護の患者さんのご自宅や施設にお伺いして、摂食嚥下障害の治療を行うなど、お口の中の健康管理をする体制を整えています。また、通院されている患者さんで、脳梗塞や筋ジストロフィーなどの全身疾患を抱えられている方の摂食嚥下のサポートなどもしています。
インプラント治療は、日本口腔インプラント学会の指導医が担当していますが、患者さんの症例ごとに、このケースはインプラントの方がいいのか、義歯やブリッジの方がいいのかを十分に検討しているので、インプラント主導の治療をしていないことも特徴です。
来院された患者さんには、自覚していない症状も含めてわかりやすく説明させていただき、生涯にわたって長く健康を保つためにはどんな治療が必要なのかをご提示させていただいた上で、患者さんが選択された治療をしています。
当院は、世界基準をコンセプトでやっているので、滅菌室と消毒室を分けて、院内感染防止の取り組みも徹底しています。また、他の人の雑音が聞こえると治療に集中できない患者さんや治療に慣れるまでに時間がかかる患者さんもいらっしゃいます。そういう方もリラックスできる空間をご提供するために全診療室が個室になっています。
今後の歯科業界についてと展望を教えてください。
私が平成6年に開業したときには、痛みがある、炎症がある患者さんの痛みを取る、炎症を抑える治療が歯科医師の主な治療でした。
その後、患者さんをわかりやすく健康に導く方法は、患者さんのどこが悪いのかが見えるように情報公開することが大事だと考え、メインテナンスを中心とした削らない治療を選択できる歯科医院を作ろうと思いました。しかし、当時は国の保険システムがまだそういった治療にマッチしていなかったので、なかなか思うような治療ができていませんでした。
それが今度の保険改正でもそうですが、歯周重症化予防治療が保険に含まれるようになるなど、徐々に虫歯や歯周病に罹患していない患者さんの口腔ケアを保険診療の中でもできるようになってきています国も全身疾患の予防や、災害時や今回のコロナウイルスでも口腔ケアがとても大事だということに気づきはじめて、削る治療を脱却して予防、メインテナンス、口腔内の細菌のバランスを整えるという方面に舵をきってきています。今後はそういうところに基軸が置かれていくのかなと思います。
ただ、そうは言っても、今まで通り治療を受けている患者さんもいますし、部分的な入れ歯や義歯治療もある一定数残ると考えられますので、そのような部分的な治療が必要な患者さんにはニーズに合わせた質の高い治療をしていく必要があります。
そして、虫歯や歯周病がなくなると、歯の破折が歯を失う主な原因になってくるので、破折を予防するために患者さんに合ったマウスピースを入れていくといった治療に日本の歯科も変わっていくのかなと思います。
今後に関しては、私が1度治療した患者さんが、10年、15年、20年経っても、1度も再治療をしていないと言ってもらえるような、長く患者さんの健康維持にお役に立てる治療を提供していきたいと思っています。
また、歯科医師中心のピラミッドではなく、歯科衛生士、歯科技工士も同じ土俵に立って、対等に話し合いながら1人の患者さんの将来のことを考えられるチームを作っていくことが大切だと思っています。さらに、患者さんも同じ土俵に立って、治療計画を立案したり、今後自分の健康な生活を考える上で、今自分になにが必要なのかを一緒に考えられる仲間としてやっていけたらなと思います。