顕微鏡での治療を2001年からスタートし、精密で確実な治療をされている吉田先生。自由診療専門の歯科医院として、幅広い知識と技術を駆使して、中立的な立場から歯科医療を提供しています。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
日本レーザー歯学会 認定医 理事
日本顕微鏡歯科学会 認定指導医 理事
日本抗加齢医学会 指導医
臨床分子栄養医学研究会 認定指導医
著書
インプラントのすべてがわかる本~正しくケアして長持ちさせるために~
他執筆実績多数
先生が歯医者を志したきっかけは?
私の父親が内科医だったので、なんとなく医療系の道に進むのかなと思っていました。
医療系の中でも、歯科の分野はおもしろそうだと思ったのと、私のいとこが歯科大学に通っていた影響もあり、歯科医師を目指すことにしました。
吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニックの特徴を教えてください。
■中立的な立場から治療を提供
当院は自由診療専門の歯科医院です。
保険診療の範囲内では困難な治療やメンテナンスを顕微鏡、CT、レーザー、栄養療法などを駆使して、幅広い知識と技術を中立的な立場から歯科医療を提供しています。
たとえば「歯を抜く必要がある」と言われ、インプラントをすすめられた患者さんがセカンドオピニオンを求めて相談に来られました。診たところ、まだ残せる可能性がありました。
逆に、「残すことができます」と言われて治療をずっと続けているものの、腫れが一向に引かず何とかならないかと来られた患者さんもいました。診るとその歯は割れていて、保存はできないことがわかりました。
よくある話ですが、インプラントが得意な先生はインプラントを勧め、保存が得意な先生は保存を勧めるというように、その先生の得意分野に偏りがあるとどうしても治療方針がそちらに誘導されてしまいます。
しかし私たちは、中立的な立場から費用や時間などのバランスも踏まえた上で、患者さんにとって最適な方法をご提案させていただきます。
■自由診療に顕微鏡は必須
ところで自由診療を行う上で、精密で確実な治療ができる顕微鏡は必須です。当院では顕微鏡を2001年から使用し、歯科衛生士も活用していることも大きな特徴です。
顕微鏡は治療の様子を録画することができるので、後でその映像を見ながら説明することができます。またビデオメガネというものがあり、治療中にそれをかけていただくことで、患者さんは治療を受けながら私が顕微鏡を見て治療している状況をリアルタイムでごらんいただけます。
さらに顕微鏡は感染対策としても非常に有効です。ビニール袋とワイヤで作った自家製の覆いを顕微鏡からスカートのように吊るすことで、患者さんとの間を遮断した状態で治療することが可能です。この中に口腔外バキュームを入れると、飛沫もエアロゾルもほぼ回収することができ、現在考えられる最も安心安全な治療空間を提供できるようになりました。新聞掲載記事をごらんください。
→https://www.zakzak.co.jp/lif/news/200512/hea2005120002-n1.html
■オンライン診療
初診時には、口腔内の写真、レントゲンをすべて印刷し、顕微鏡からの映像を見せながら患者さんに説明し、その内容を歯科衛生士がすべて書き込んで行きます。これを1冊の診断書としてお渡しするのですが、みなさんきちんと歯を磨いているつもりでも全然磨けていないことを知って大変驚かれます。
磨けていないという状況をご理解いただくためにも顕微鏡はたいへん重要です。きちんと歯が磨けていない状態で治療に入っても、結果が悪かったり、良くなったとしても長持ちしません。まずは「歯がきちんと磨けていない」という歯が悪くなってしまった原因を治療前に除去する必要があります。
そこで当院では当初約1か月間は徹底的に歯ブラシの練習をしていただき、ある程度良い状態になってから本格治療に入ります。ただ、新型コロナウイルスの影響で気軽にご来院いただくことが難しくなってしまいました。そこで、ZOOMを使ったオンライン診療を始めました。
治療のご相談や歯ブラシの練習などカメラ越しにできることは全てZOOMで行い、来院していただいた際はすぐに治療に入ります。来院の負担も減り、敷居が低くなりました。
また歯ブラシについて重要なことは、忘れないように解説したサイトも作りました。初診の方には事前にこちらのページを見ていただくようにしています。
→https://www.y-dc.org/wp/prevention-orthomolecula/correct_use_toothbrush
■栄養療法を積極的に取り入れる
歯ぎしりの問題はなかなか深刻です。歯は最終的に歯ぎしりが原因で抜歯になることが多いのですが、まだ有効な解決策がありません。
しかし寝ている間にアドレナリンが出ている可能性は高いと考えています。これは夜間低血糖や副腎疲労に伴うことが多く、その是正は急務と考えています。すると、食べ物や栄養の話がとても重要になってきます。
ほとんどの医療は、患者さんは毎日問題ない食事をしていて、栄養に過不足がないということを前提に進められています。
しかし、調べてみると、ほとんどの方に、タンパク質不足、脂質異常、糖質過多、ビタミン・ミネラル不足などからくる、なんらかの異常が診られます。これを「隠れ栄養失調」と呼んでいます。
そこで当院では、顕微鏡を使った外側からの治療だけでなく、免疫力や再生力を正常化させるための、体の内側から治す力も重視する栄養療法を積極的に取り入れています。
今後の歯科業界についてと展望を教えてください。
歯科業界というより、患者さんが二極分化し、それぞれに対応する歯科医院に分かれていくのではないでしょうか。
すなわち歯が痛いから仕方なく治療に行く、どこも同じだからと近場の歯科医院を選ぶ消極思考の患者さんをターゲットにしている歯科医院と、より良い治療を求め、目的意識を持って歯科医院を探す積極的な患者さんをターゲットにしている歯科医院、この二つです。
■情報発信をして行きたい
最近は、鬱などの精神疾患のある人が増えています。ADHDや自閉症の子供も増えています。
私がこの仕事を始めた頃は、こんなに精神疾患のある人はいませんでした。それだけストレスが多い時代になり、しかもそれに対応する栄養も不足している、歯科治療はますます難しくなっています。
これはまだほとんど知られていることではないので、もっと情報発信を積極的に行い、同じ志を持つ仲間たちと行動して、一人でも多くの人を救っていきたいと思っています。