噛み合わせに重点を置いた治療を行っている高良先生。日本でも有数のDGZI国際口腔インプラント学会のドイツ本部認定スペシャリストでもあります。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
歯学博士
日本顎咬合学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専門医
DGZI国際口腔インプラント学会 ドイツ本部スペシャリスト(専門医)
国際口腔インプラント学会 指導医
アメリカレーザー歯学会 認定医
先生が歯医者を志したきっかけは?
私が子供の頃に腎盂炎という病気を患い、病院に通う日々を送っていたのと、私の母親が助産師だった関係で医療の仕事に興味を持っていました。また、私は手先が器用で本棚やプラモデルを作ったりもしていました。そんな色々なことが絡み合い、自然と歯科医師を志していました。
タカラデンタルクリニックの特徴を教えてください。
当院は嚙み合わせに重点を置いた治療を行っています。まず応急処置をした後に、患者さんの歯形を取り、その歯形を使って、お口の中が今どういう状態になっているのか、どういう嚙み合わせになっているのかをご説明します。嚙み合わせは、頭痛や肩こり、腰痛など全身の病気の要因になっていることが多々あるのですが、実は、噛み合わせが正常な人は少なく、ほとんどの人が歪んでいます。
人間の身体で生後に形ができあがるところは歯並びだけです。乳歯から永久歯へと生え変わることで歯並びが成立します。その成立するまでの間に虫歯や親知らずの影響で歯並びが悪くなります。そして、歯並びが悪くなることで、噛み合わせがずれて、顎の筋肉の動きが左右アンバランスになり、顎の筋肉、顎関節などに障害をきたすようになります。
また、歯並びが悪いことで、舌の可動範囲が狭くなり、正しい位置に舌が落ち着かないため、必要以上に口が開き、万病の元だと言われている口呼吸になりやすくなります。その結果、いびきや睡眠時無呼吸症候群を誘発させることもあります。
嚙み合わせには、顎関節を押さない奥歯の高さが必要です。例えば、歯が1本でも歪んでいたり、奥歯がすり減ったりしていると、噛もうとするときに顎関節やその周辺の筋肉に負担がかかり痛くなってきます。
起きているとき、下顎の骨は重力で下に引っ張られています。食事のときはよっぽど硬い食べ物でない限りは強い力で噛むことはありません。しかし、寝ているときは、起きているときとは比較にならないものすごい力で歯を嚙みしめています。この歯ぎしりは、誰しもがしている行為です。歯ぎしりと言えば、ギリギリと音を立てるものだと思われがちですが、実は、ほとんどの人が音を伴わない歯ぎしりをしていることがわかっています。ただ、人は歯ぎしりによって日頃のストレスを発散しているため、歯ぎしりそのものは、日常生活を送る上で必要な行為です。しかし、それは正常な歯並び、嚙み合わせの場合に限られます。悪い歯並び、噛み合わせで歯ぎしりを行うと余計な負担がかかり、口の中を壊していきます。
ご自身の身体がどうなっているのか、嚙み合わせにはどういう意味があるのかを理解しなければ正しい判断ができないと思いますので、必ず皆さんに以上のことを資料などを活用しながら丁寧に説明しています。そして、説明を踏まえ、嚙み合わせを含めて治療をするのか、歪んだままでとりあえず痛いところだけを治療するのかを患者さんに選択していただくようにしています。
噛み合わせを含めた治療を希望される場合は、患者さんの骨格に合わせた歯並びの作り方があるので、CT形態分析やコンピューター顎機能診断、咬合バランス診断などの詳細な噛み合わせ検査を行います。その結果を踏まえ、可能な治療の方法や期間、費用などの説明をした上で、患者さんにとって1番自然な歯並び、噛み合わせを構築していきます。
当然、矯正治療やインプラントをして、全顎的に治療をしていくと2、3年治療期間がかかるのですが、若い人の場合、残りの人生を考えると50年や60年単位での話になるので、正常な歯並び、嚙み合わせでいることで健康で快適な人生を送ることができます。
多くの歯科医師は、顎が歪んでいる状態のまま、それに合わせて詰めたり被せたりしています。本来は、歪みを取った上で、正常な歯並び、噛み合わせを作り、本来の歯があるべき位置に歯を入れなければならないのです。それを実践しているところが当院の大きな特徴ですね。
今後の歯科業界についてと展望を教えてください。
嚙み合わせは、医師に治すことはできませんし、薬でも治すことはできないので、この噛み合わせに重点を置いた治療が一般化していくことで、歯科医師の価値はもっと上がると思っています。
この治療は2、3年期間がかかったとしても、その後何十年も綺麗な歯でいられますし、仮に歯がすり減ったとしてもその箇所を足すだけなので、治療の負担も減ります。そんな噛み合わせに重点を置いた治療が一般化していくことに役立てていけたらと思っています。