デジタル技術を駆使した矯正治療を提供されている三林先生。大学病院レベルの精度の高い医療機器を導入し、感覚に頼らない、安全で確実な治療をされています。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
日本デジタル矯正歯科学会 理事長
シュアスマイル研修 会長
資格
日本成人矯正歯科学会 認定医
日本健康医療学会 認定医
先進歯科画像研究会歯科用CT認定医
顎咬合学会 咬み合わせ認定医
日本アンチエイジング歯科学会 認定医
講演・論文・著書実績
受賞歴
2017豊明市 市政功労者表彰(保健衛生の向上に貢献)
先生が歯科医師を志したきっかけは?
私は理系だったのですが、純粋な理系頭ではなく、成績は文系の方が良かったです。それでも理系が好きだったので、理系と文系の両方に接点がある歯科か経営工学のどちらの道に進むかで悩みました。結果、親戚に医療系の仕事をしている人が多かった影響もあり歯科医師の道を選びました。
みつばやし歯科・矯正歯科の特徴を教えてください。
当院はコンビ―ムCTや口腔内スキャナーといったデジタル技術を活用した矯正治療を行っているところが特徴です。今までの矯正治療は「予測の科学」で、経験値がものを言う世界でした。しかし、デジタル技術を活用することで、治療のゴールがより明確になり、感覚に頼らない、より安全で精度の高い矯正治療が提供できるようになりました。
複数パターンのシミュレーションにより、治療をする上での問題点を事前に把握することができ、矯正中や矯正後の噛み合わせなどを確認することも可能なので、患者さんにとってどんな治療がベストか見極めることができます。
デジタルを駆使することでスピーディーな矯正治療も可能です。例えば、治療のゴールに向かうためにA、B、C、Dというステップを踏む必要があった際に、1つずつ進めていると時間もかかりますが、デジタルを駆使するとAを進めながらBも同時に進めるといったことも可能になります。
デジタル設備についてですが、口腔内スキャナーは各メーカーによって特色があるので、当院ではiTero・CS3600・トロフィーなど複数導入していて、患者さんの要望や症例によって使い分けています。当院のように複数台持っている歯科医院は少ないのですが、ただ持っているからいいというわけではなく、それをどう活用するかがとても重要です。
当院が導入しているコンビ―ムCTは、立体的な3次元の情報を取得することができるので、従来のパノラマレントゲンでは見えなかったものが見えるようになりました。それにより、歯冠だけでなく、歯槽骨や神経、骨格や筋力のバランスを確認した上で治療することができます。また、広範囲にデータが取れるため、インシデンタルファインディングといって、歯にまつわることだけではなく、偶発的に病気を見つけられることもあります。そのデータを大学病院などに送ることで、遠隔で診断していただくことも可能です。
今後の歯科業界についてと先生の展望を教えてください。
今後の歯科業界は、デジタルの方向に舵を切っていくことは間違いないのですが、様々な規制により日本のデジタル化は諸外国と比べて数年遅れています。
例えば、海外ではある型番のCTの認可が下りると付属のものもすべて認可が下りるのですが、日本の場合、付属のものは別物とみなされ、全てバラバラに認可を取る必要があり、その度に費用もかかってしまいます。そうなると日本には売れ筋のものしか入ってこなかったり、認可を取るのに費用がかかるのであれば日本に入れるのはやめてしまおうという動きが起こってしまいます。
また、マウスピース型矯正装置であるインビザラインも実は日本では未認可です。医師の裁量で未認可のものを使うことは可能なのですが、患者さんへの説明は必須です。先進国で未認可なのは日本だけです。
以上のような規制により、日本の歯科業界が諸外国からどんどん後れを取ってしまうのではないかと危惧しています。
現在VRやAIの研究を当院で行っています。より良い治療をよりリーズナブルに提供することができたら患者さんも私も幸せなので、そのためにみんなで協力して、デジタル矯正をより追究していきたいと思います。