中村歯科医院 院長 中村 真一 | 歯医者の選び方

「その患者さんにとっての今のベスト」を考え、総合的で高品質な治療をご提供されている中村歯科医院。院長の中村真一先生は日本口腔インプラント学会の専門医資格も取得されています。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただきました。

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歯学博士
日本口腔インプラント学会 専門医
日本顎咬合学会 認定医
DGZI ドイツ口腔インプラント学会 認定医・指導医
ICOI 国際口腔インプラント学会 認定医

先生が歯科医師を志したきっかけは?

昭和28年に先代が現在の場所に歯科医院を開院しました。小さい頃から日常的に歯科の仕事を見るうちに高校2年生の頃 誰に言われることなく歯科医師を志すようになっていました。
当院はこの地で開院して72年になります。ご縁あって関わった患者さんの食べる喜びや笑える喜びに 自分の知識やスキルで微力ながらお手伝いできればという思いで向き合っています。4代に渡って来院していただいているご家庭もありますので 心と心の繋がりの大切さを改めて思います。

中村歯科医院の特徴を教えてください。

虫歯や歯周病治療などの一般歯科をはじめ、審美歯科、矯正歯科、入れ歯、インプラント、予防歯科など、私と副院長の歯科医師2名、歯科衛生士3名、そして受付、歯科助手と力を合わせて、「予防」を軸とした総合的な治療をご提供しています。
私の歯科医院は若い勤務医がたくさんいる大型歯科医院ではありません。歯科医師も歯科衛生士も、患者さんが急がれない限りは Face to Faceを大事にしていますので「担当制」でおこなっています。

日本口腔インプラント学会の専門医を取得していますので、私がインプラントなど外科処置、歯周病治療、咬合治療を、副院長が矯正歯科、小児歯科治療といったように、それぞれの持ち味を生かしながら、幼児からご高齢の方まで様々なケースの患者さんに対応しています。歯科衛生士もインプラント学会の試験に合格して認定歯科衛生士の資格を有し、高い知識とスキルを身につけていることも患者さんに安心していただけるのではないでしょうか。

患者さんは歯科の用語も内容も詳しくはわからないのが普通ですから 最善な治療を提供するためには、わかりやすい説明というのは欠かせません。勤務医時代 大学剣道部の先輩にあたる師匠から「中村!説明は十分にではなく、十二分にしなさい」と厳しく教えられたことが私の礎になっています。ですから当院では患者さんの症状や希望に合わせて、必要な写真や画像を見てもらいながら 口腔内の現在の状況、治療方法の選択肢、方法による最終結果の違いなど 丁寧にご説明しているつもりです。

歯の治療というのは何度も繰り返していくうちにどんどんダメになるものです。
神経をとると30〜40年経つと歯根が破折したり、歯の質が脆くなったりして抜歯に至ることが多いことを考えますと、できるだけ神経を取らないようにしたいものです。 そのためには早い段階できっちり虫歯治療しておくことが 人生の後半 良い結果につながってきます。
「後々、後悔しないようにするには 今、そして今後どうすれば良いか」 
それは患者さんにとって 「大事な選択基準」になると思います。

聖路加国際病院の日野原重明先生は生前 55歳から74歳の1060人を対象に調べた「人生のふり返り」で 「健康の後悔」のトップは 「歯の後悔」だったという結果を発表されています。 若いうちからしっかり歯を守る意識を持って治療と予防に取り組むことは 豊かな人生に繋がると確信します。

「保険治療」か「自費治療」か、歯科では耳にされると思います。一体その差はどう違うのか? 材料の差だけなのでしょうか? セラミックにしたらいい治療なのでしょうか?
わかりにくい部分ですね

私の考える自由診療とは 方法、材料、テクニック含め「質」を求める治療法です。
自費による治療(自由診療)は ひとえに「患者さんのために存在する治療法」です。
私はいくつか治療の選択肢がある場合 長期的な観点から 自由治療を勧めることは少なくないですが、費用対効果が乏しいと考えられるケースには決してお勧めしません。
「快適」で、「健康」に繋がり、「美しく」、そして「長く持つ」ということ 患者さんが健康という尊い価値を長期に得ていただくためというのが原則です。

保険制度での治療も患者さんのためにあるはずですが、日本の歯科における保険制度は最低限の医療を保証するもので、方法や材料の制限、制約が非常に多く、残念ながら満足度や質を求めるのには限界があります。
歯科医学的には最善とは言えない部分が多いと言わざるを得ません。
医療と医学は必ずしも一致しないのです。

何度も治療を繰り返して 最終的に歯を失ったという体験をされている方は非常に多いと思いますし、実際インプラントも 自分の歯を守れなかった結果として行われるわけですから、できるだけ治療を繰り返すのは避けなければいけません。
ですからインプラント治療をしなくて済むように 自身の歯を守っていくのが望ましいことなのです。

そういう意味で、自由診療と保険診療のそれぞれのメリット・デメリットについてもちゃんと患者さんに理解してもらいながら、納得して治療方法を選んでいただくようにするのが良い方向に向かうと思います。
「その患者さんにとっての今のベスト」を一緒に考えていくことを考えの軸にしています。

長く歯科医師をやってきて 最近 特に意識することがあります。
心の中にある不安、恐怖心は自ずと表情に出るものです。抜歯する方は 当日椅子の上で固まっておられる方も少なくありません。「昨日は抜くと思うと 眠りにくかった」と言われる患者さんもいます。

我々歯科医師としては 麻酔の仕方などできる限り痛みを感じない治療を心がけることはもちろん できる限り緊張感をなくして差し上げることは治療を進める中でとても大事なことと思っています。リラックスして治療を受けていただけるように診療室は改装の際、全室個室にしましたので それは患者さんの心理面で役立っていると思います。

今は普及してきましたが 20年前「これは絶対要る!」と感じ、神戸市内でも早い段階から歯科用CTを導入しました。インプラント、歯周再生治療、根管治療(神経の治療)、親知らずの抜歯など、必要なケースで適切な診査・診断を行っています。そして、患者さんの口腔内の状況をしっかりと把握した上で、マイクロスコープ(顕微鏡)も活用しながら、精密な治療を行うことで治療の質も上がります。
現在ではCT、マイクロスコープなしでは質を求める治療ができないと言っても言い過ぎではないくらいです。

今後の歯科業界についてと先生の展望を教えてください。

「予防」の重要性を強く意識し取り組み始めてこれまた20年以上になりますが、患者さんの予防に対する意識もここ10年で明らかに変わりました。20年前は80歳で5本程度と言われていましたが、今や80歳で20本の歯があるのは当たり前の時代です。
当院でも1日に来られる患者さんの半分は予防を目的として来られます。初めはさほど関心を示さなかった方も来院を重ねる中で だんだんとお口の健康への関心が高くなられ、今では定期検診、クリーニングの意義を実感されています。

予防に対する意識が高いレベルに達することで 実際 虫歯や歯周病など疾患も大きく減りました。ですので、これからの時代は、「予防」の大切さをもっと多くの方々に意識していただくことが何より重要だと思います。

「予防」と聞きますと、歯ブラシやフッ素による予防を想像しがちですが、実はそれだけではありません。
虫歯や歯周病にならないための予防はもちろんですが、小児学童期からの歯並びや不正咬合の予防、予防矯正、入れ歯やインプラントなど治療後の2次的な問題の予防、噛み合わせの悪化の予防(咬合力の問題)など、「予防」というのはとても奥が深いので、口腔の機能も含めて、予防をしっかりと理解して取り組んでいくことがこれからの時代では大切なことだと思っています。

ご高齢になられた患者さんの健康をどのようにして支えていくのか これからの歯科のテーマです。生涯にわたって健康なお口を保っていただくために、歯科医師として何ができるかを模索しながら、私も継続してこれまでの患者さんをフォローアップしていくことが必要と考えています。

毎日の生活の中での “不自由のない食生活” 。それは 生きる喜び、心身の健康に直結します。
ご高齢になられるとハイレベルを目指す治療も大事ですが、痛くなく早く終わる治療を希望される方も多くなります。ご高齢の患者さんの身体のことや心のことをよく理解しながら、治療やメインテナンスをしていくことも大切にしていきたいです。
2053年の開院100年に向け、さらにレベルの高い予防歯科を目指して次世代に繫いでいきたいと考えています。

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