歯周病治療をベースとした総合治療で、1人の患者さんを長く時間軸で診ていくスタイルをとっている島倉先生に本日はインタビューさせていただいた。
日本顎咬合学会 認定医
日本歯周病学会 会員
日本口腔インプラント学会 会員
日本口臭学会 会員
スタディーグループ救歯会 講師
東京都歯科医師会丸の内支部理事(6年歴任)
東京都日本歯科大学校友会学術委員(4年歴任)
東京歯科保険医協会社保学術副部長
東京歯科保険医協会 第41回定期総会議長
東京歯科保険医協会 第42回定期総会議長
東京歯科保険医協会 第43回定期総会議長
東京歯科保険医協会 第44回定期総会議長
東京歯科保険医協会主催研修会 講師
千代田区長より保険衛生功労者として表彰される
学会発表、講演、論文、メディア掲載多数
著書
・「絵で見る色でわかる歯科の感染症対策」東京歯科保険医協会2012年
・「救歯臨床と経過観察」スタディグループ救歯会20周年記念誌2012年
先生が歯医者を志したきっかけは?
小中の時から手先が器用で、美術、工作はいつも通信簿が5でした。全校集会で賞状をよくもらっていましたね。そういった系統が得意で好きだったので、手先を動かす職業の方が自分でも向いてると思っていました。
当時そこまで職業の種類もなかったので、手先というとモノづくりか外科医、歯医者の3つくらいかなと考えてその中で歯医者が身近だったので、歯科医を目指すことに決めました。
実家が木工所で職人の家系だったので、その影響もあったと思います。
大手町デンタルクリニックの特徴を教えてください。
1つ目は、歯周病治療をベースにした一口腔単位の治療をしています。一口腔単位の治療とは総合治療のことです。
歯周病の治療、根の治療、噛み合わせの治療、顎の状態、歯並びといったようにお口の中はいろんな方面の治療が必要な場合があり、引き出しが狭いと治せないので守備範囲を広くして全部できるスタイルをとっています。
2つ目は、いきなり治療ではなくカウンセリングから始めるところです。だいたい2、30分話を聞かせていただき、検査してから患者さんに治療計画を1つ1つ文章で作りお渡ししています。すぐに治療を始める歯医者さんが多いと思いますが、そうではなくて、なんでそうなったのか、今後そうならないためにどうしたらいいのかというご提案と他の悩みがあればその解決方法などの話をしっかりとして、患者さんにどこまで治療をするかをまずご相談させていただいています。痛いところはもちろんすぐに治療しますが、その後しっかり治していくためにステップを踏んでいるシステムが特徴ですね。
医療の流れとは、転んだやぶつけた、自動車事故などで救急処置で救急車で運ばれる緊急の治療だけではなく、慢性的な病気、高血圧、糖尿、腫瘍など、しっかり治していく治療の2パターンあるのですが、その両方を対応しなければ健康ではないです。緊急の治療だけであればすぐに終わりなのですが、慢性の疾患だとずっと長く計画的に治療しないと良くならないので、そのために治療計画やカウンセリングが必要になってきます。
患者さんの治癒力を引き出してあげることも特徴ですね。
今後の歯科業界についてとその中での先生の展望を教えてください。
両極端化すると思っています。
根の治療だけ、歯周病の治療だけ、入れ歯しか作らないという専門性に特化して細く深く診ていく歯科医院と1人の人を長く時間軸で診ていくというスタイルの2つの流れになるのかなと思います。
同じ人をずっと診ていくということは、根の治療や、小さい子であれば虫歯治療、成人になれば歯周病や歯並び、年配になると義歯や噛み合わせ、いつまでもおいしく食べられるようにといったように総合的に診ていかないといけませんので、どちらかというと「本当の医療とは?」で考えると後者の方かなと私は思っています。前者は「病気」に特化して診ている、後者は病気の「人」全体を診ている、感じでしょうか。
専門性、専門性というものの、先生によって治療方針が異なることも少なくありません。
その先生は実家に帰りましたとか、辞めましたとかになってしまうと患者さんも戸惑ってしまうと思います。究極はやはり同じ先生がずっと1人の同じ人を見ていくことですね。同じ先生であれば昔の状況と今の変化がわかりますので、将来予測が正確になります。もちろん治療の履歴もわかります。今まで虫歯が多かった人は、今後も虫歯になりやすいからですからね。
アメリカだと専門性の横軸で、1人患者さんに対して歯周病や噛み合わせなど別々の先生が診ています。そうではなくて、縦軸で10代から80代までというように1人の歯医者さんが時間軸で診ていくこと、それが患者さんにとっての理想だと思います。
複数の専門性の高い先生に診て頂くのもいいかもしれませんが、長期的に考えるとバランスがとれた治療ができる同じ先生に診てもらうことがベストではないかと思っています。